つづりのお部屋…?
「やばいやばい、配信遅刻しちゃう!」
お風呂上がりの顔に慌てて化粧水を塗りながら、急いでPCを立ち上げる。
ワタシの名前は灰蒼綴。ネットで活動しているVtuberだ。
まだまだ知名度は高くないけれど、いつか絶対、ビッグになってやるんだから!
そんなワタシにも、みんなには秘密にしている事がある。
Vtuberとして活動しているのは、あくまでワタシの理想の姿。
とはいえ、銀色の髪も、丸眼鏡も、服装だって、実物に結構似てるとは思う。
でも、一つだけ決定的に違うことがあって……
鏡に映る顔を眺めながら、すこしため息をつく。
「女の子、だからなぁ……」
そう、女の子。灰蒼綴は、女の子なのである。
ネットで活動するときは頑張って声を低くしたり、
設定を色々いじったりして、何とかばれないように気を付けているんだけど、
もしリアルのイベントなんてあった時には……うーん、絶対しないようにしないと。
Vtuberであるからこそ叶えられた、なりたい自分。
それに満足しているからこそ、今のワタシを、絶対に守らないと!
「……よし、なんとか間に合った!」
カメラをつけて、PCの画面に向き合う。
今日も配信、頑張るぞ〜!
「……あ、あれ?」
急いでおした配信ボタン。
……は間違ってなかったんだけど、
どうやら、カメラの設定を間違えてしまったみたいで……
配信画面に映っているのは、いつものお兄さんな灰蒼綴ではなくて、
お風呂から上がったばかりの、その、なんというか……ありのままに近い……
「や、や、やだ〜〜!!!!!!」
ワタシの絶叫と共に、ワタシはリスナーさんに、
二度と忘れられない光景を見せてしまったのでした……とほほ。
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